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【日本人を劣化させるテレビの大罪】 2008年3月19日 掲載
怖くて芸能スキャンダルを扱えないTV局の弱腰大手事務所にニラまれたくない ワイドショーがつまらなくなったと言われて久しい。画面から芸能スキャンダルが消え、政治やスポーツの話題が増えた。その背景にあるのは視聴者の政治意識の高まりなどではない。あくまでテレビ局側の都合だけだ。 民放ワイドショーのディレクターが言う。 「テレビ制作には報道部門の他にドラマもバラエティーもあり、高視聴率番組はジャニーズや吉本興業といった大手芸能プロのタレントなしには成り立ちません。スキャンダルを報じたせいでプロダクションの不興を買ったら、自分が飛ばされるだけじゃ済まない。そんなリスク取れないよ」 所属タレントをまるごと引き揚げられでもしたら、局の存続にかかわる。だからワイドショーでスキャンダルを報じられないというのだ。 「芸能スキャンダルは新聞や雑誌の記事を読み上げてお茶を濁すのが精いっぱい。それに、音事協がらみには手を出さないのが現場の不文律。弱い者いじめと言われても仕方ないけど、狂言の和泉家や相撲の花田家は音事協と関係ないから扱いやすいんだよね」(前出のディレクター) 音事協=日本音楽事業者協会は、大手の芸能事務所が加盟する業界団体だ。63年に設立。タレントの肖像権をタテにゴシップ報道を抑え、発言力を増してきた。ワイドショーで直撃取材やバッシングの対象になるのは、音事協に加盟しない弱小プロや個人事務所のタレントだ。 和泉元彌ファミリーの“道義的責任”とやらを追及するためならヘリまで飛ばす。けれども、SMAPの稲垣吾郎の事件(公務執行妨害で逮捕、その後起訴猶予)の時には、「容疑者」と呼べずに“稲垣メンバー”なる珍妙な呼称を持ち出して、その社会的責任には目をつぶるのがテレビの報道倫理なのだ。 芸能リポーターの梨元勝氏は、ワイドショーのプロデューサーから「ジャニーズの話はやめて欲しい」と言われ、納得できずに番組をボイコット、あるいは降板した経験が何度もある。 活躍の場を失った芸能リポーターは、地方局のローカル番組やインターネットに活路を求めた。キー局に比べれば“しがらみ”が少なく、自由な発言ができるからだ。梨元氏もネットに軸足を移し、芸能情報を提供するサイトは有料にもかかわらず順調に会員数を伸ばしているという。 「テレビ局には保身のための事なかれ主義がはびこり、ワイドショーが報じるのは、芸能プロが開く記者会見などの“発表モノ”ばかりになってしまった。タレントに都合のいい情報を垂れ流す一方で、スキャンダルには及び腰。報道の平等性が損なわれている。テレビマンは、伝える側としての使命を見失っているのではないか」(梨元氏) 社会の公器が聞いて呆れる自主規制。ワイドショーの凋落(ちょうらく)は自業自得だ。 |
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