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【新春直撃インタビュー】
2007年1月9日 掲載
みずほコーポレート銀行 齋藤宏頭取(2)

後継者育成は「亀裂なく上手に移行」

●ディール・アフター・ディール営業
 M&A分野で外資系投資銀行と戦う上でのみずほグループの優位性、それは国内の大企業の7割、中小企業10万社と取引していることにある。
「私どもは本店営業部が業種別に1部から18部まであり、融資をしながら、業種共通の問題に対し深いソリューションを提供できる。そこから究極の姿としてM&Aを提案していく。外資系は確かにクロスボーダーでの経験は豊富ですが、会社のためというより、とにかく値段を高く吊り上げる。貸出残高があるわけでも株を持っているわけでもありませんから、後は野となれ山となれ。我々は貸し出しも株もあるので、本当にこの会社のために値段が適正であるかを考える。そういうことで、みずほコーポレートの信頼が非常に高まっていると思います」
 昨年12月の「マルハ」と「ニチロ」の統合でも、両社長から相談を受け裏方として調整役を担った。
「合併や統合はスタートであって、そこから事業を切り離してIPO(株式上場)するなど、後が大事。米の投資銀行は最初に何十億と手数料を取るが、我々は『ディール・アフター・ディール営業』として、最初は割安で、その後の長いお付き合いで収益を上げていく。それによって人も育つし、米銀にない信頼関係が構築できる」
 こういった点に魅力を感じ、外資からみずほへの転職組も少なくない。
「一時的に給料がいいと思って行ったけれど、すさんだ人間関係に耐えられなくて戻ってきたりね。みずほから出てみずほへ戻った人もいます。僕は大いに戻ってこいと言っているんです。人事部長なんかは、とんでもないと怒っていますけど(笑い)」

●海外収益40% 
 07年、国際展開では中近東に注目する。
「今はバーレーンに事務所がありますが、将来的にはドバイ(UAE)とリヤド(サウジアラビア)への進出を考えています。同時にイスラミック金融、これは単に融資ではなく運用を新しく手がける。イスラム圏というのは、インドネシアやマレーシア、ロシアともつながっている。電力、ガスや商社など資源関係の取引先を考えると、これは大変価値のある案件です」
 09年に海外収益比率40%、という目標達成時には、米と欧(中東含む)で10%ずつ、残りを中国で10%、ASEANで10%と描く。
 根強い銀行批判についてはどう受け止めているのか。
「今、銀行批判がいろいろあって、儲け過ぎだとか。私が就任以来、銀行って嫌われているけれど、キヤノンやトヨタはあれだけ儲けていても批判されない。なぜか。多分、銀行は自ら努力せず、制度に守られているだけだと思われている。だから、みずほコーポレートは違う、世界と競争して、世界から4割の収益を上げている、となれば、キヤノン、トヨタ同様努力しているとなって、銀行批判もなくなっていくのかなと思っています」

●2010年に女性役員誕生? 
 収益拡大には優秀な人材の育成が不可欠。外国人幹部登用に力を入れる。
「170人ほどが集まる年2回の部店長会議は、10人近い外国人の部長たちがいますので、同時通訳を入れます。午後の国際問題の分科会は全部英語。私も最初のスピーチから英語でやります。今、若手からは、『英語を準公用語にすべき』という声が出て、常務たちが戦々恐々としています」
 女性登用も積極的だ。2年後には部長、2010年には役員誕生までも想定する。
「こういうのは上が言わないと動かない。お客さまは女性が来れば『いいじゃないか』と言うのに、女性の部下が行こうとすると、『相手は喜びませんよ』と。自分の職場を取り上げられるような気分になるんですね。でも、能力は全く変わらない。銀行業はどの部門だって性別の区別はいりません」
 最後に、後継者育成について聞いてみた。
「今年辞めるつもりはありませんが、トップダウンでできるような人がいいんじゃないかな。その時代の要請もありますから、何人かの候補を持って、本人にも周りにもわからないように育てていく、ということが非常に大事。本人や周りが知ると、大概ろくな結果にならない。妙に安全運転になったり、権力が集中してしまう。亀裂なく上手に移行することが必要でしょう」
 だが、グローバル化はこれからが本番。齋藤頭取は当分辞められそうにないのではないか。

●齋藤時代はまだまだ続く
 金融界を代表するリーダーのひとりである。ダンディーな外見、落ち着いた口調。それでいて、発言の節々に強烈な自負心がうかがえる。世界を相手に戦う態勢を着々と整え、これからが勝負の時。まだまだ齋藤時代が続きそうな雰囲気だ。



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