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【この人物のオモテとウラ】
2008年1月7日 掲載
朝青龍(高砂部屋 横綱・27歳)

定規をもたない野生の悍馬

「開高だったら、どう見るかなあ」と、マスコミ関係者が言った。
 モンゴル好きだった小説家・開高健。もし開高が生きていたら、朝青龍をどう評価するか。
 朝青龍ほどバッシングにあった横綱もいない。品格のなさから人間性まで、存在すら全否定されている。開高健はモンゴルの自然を肌で知っている。「川の狼」と呼ばれるイトウを求めて、釣り糸を垂れて待った。日本とは比較にならない環境で育った朝青龍を、開高はどう裁くか。「品格を求めるのが土台ムリ」と言うだろうと、先の関係者が続ける。
「野生の悍馬(かんば)になぞらえるのじゃないか。モンゴルの野生馬は気性が激しい。何本も綱をかけて捕まえるのは並大抵の苦労じゃない。飼いならすなんてまず不可能。そういうのを、開高は見ているからなあ」
 もともとモンゴル草原の自然児。格闘技一家に生まれて、悍馬に磨きがかかった。16歳の時には明徳義塾高にスカウトされ、二つ返事で「強くなってカネを稼ぐ」と決意した。上下左右は関係なく、まっすぐ突っ走るだけ。目ざわりと思えば力ずくで払いのける。
「横綱になって自分勝手になったなんて、とんでもない。入門早々、年下の兄弟子に注意されてぶち切れ大ゲンカ。門限破りで、朝青龍が悪かったのに、です。モンゴルの大先輩、旭鷲山とは土俵の上でガン飛ばし、けんか腰で注意された。来日当初は、旭鷲山に可愛がられて尊敬していると言っていたのですが、土俵では関係ないというのでしょう。貴乃花との初対戦に負けた後、“あのケガしてるほうの足をガツンとやればよかった”と放言。物議をかもした。根っから、常識とかしきたりとは無縁の生き方を続けていました」(スポーツ紙デスク)

 離婚するとかしないとか、タミル夫人とのなれ初めも一直線。「モンゴルの中学時代、他校生ながら美人と評判のタミルに猛アタック、連日のように交際を求め攻略したのです」(マスコミ関係者)という。
 来日して、一番素直に聞いたのが兄弟子のこんなアドバイスだった。
「相手は母親を殺したやつだと思え」
 そういう調子でトップに上り詰めた。相撲界の横綱は単なるトップではない。付け人が何でもやってくれる王様待遇。税金のかからないカネが入ってきて、母国で副業に乗り出すと、政治家がすり寄ってきた。モンゴルの悍馬が、そういう地位を得たら手がつけられなくなる。
 世界の常識に照らすとどうなるか。英字新聞の「ジャパンタイムズ」は朝青龍の事件についてこう論評した。
「師匠は朝青龍の不品行に重い責任がある。親方が朝青龍に対し、横綱に期待される品位を十分に教育していれば、問題は避けられたはずだ」
 モンゴルの野生馬は、そういうレベルでは解決しない。善しあしではない。価値判断の基準が違うところに、朝青龍は生きている。開高健だったら、朝青龍をどう裁いただろうか。



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