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【現代シネマ倶楽部】
2007年11月24日 掲載
危険な情事 / モーテル

サスペンス映画で肝を冷やしてみたいときは…

●島敏光が観た!
 血がドバドバ飛び散るとか少女の首が一回転するというタイプの映画は別にして、僕がサスペンス映画として一番怖かったのは文句なしに「危険な情事」(87年)だ。有能な弁護士のダンにはキュートな奥さんと可愛い娘がいるが、ふとしたキッカケで妖艶(ようえん)なキャリアウーマンのアレックスと浮気。これが恐怖の始まりだった。
 誘われるがままに2度目の情事を楽しみ、帰ろうとすると女は激怒。不安定な精神が手に取るように伝わってくる。その直後、女は何の前ぶれもなく自分の手首を切って血まみれに。アブない女を演じるグレン・クローズがうまい。
 ある日、ダンが家に帰ると、妻とアレックスが談笑している。これは怖い。怖すぎるよぉ〜。可愛がっていたウサギが鍋でゆでられてしまうシーンもあり、浮気のリスクをこれほど強烈に描いた作品は他にない。
 僕はどうも平和な家庭に毒が回っていく映画を怖がる性格のようだ。フランソワ・オゾン監督特集の一環として公開された「海をみる」(97年)は優雅なタイトルとは裏腹に、かなり底意地の悪い映画に仕上がっている。
 美しい海辺の家でサーシャは赤ん坊をあやしている。庭では若い女が勝手にテントを張っている。気のいいサーシャは女を夕食に誘い、2人は打ち解けていく。そのくせ若い女は密かにサーシャの歯ブラシを手に取り、なんとトイレで自分のウンコをなすりつける。こんなに良くしてもらっているのに何てことをするんだ。思わず背筋が凍りつく。若い女の悪意はしだいに言葉の端々に表れ、ついにはとんでもない悲劇がやってくる。

■冷えた夫婦が殺人事件に巻き込まれる「モーテル」
 公開中の「モーテル」では夫婦仲が冷め切った男女が殺人ゲームに巻き込まれる。上品でさわやかなムードが売り物のケイト・ベッキンセールが今回は終始ふくれっ面。2人は車がエンコしてしまったため、うす汚い田舎のモテルに一泊することになる。
 何げなく備え付けのビデオを見てみると、そこにはやけにリアルな殺人シーン。よく見ると撮影されたのはこの部屋のようだ。しかもあちこちに隠しカメラが設定されている。こんな部屋とは一刻も早くオサラバと思ったが……。
 これらの映画はホラーやスプラッターとはひと味違い、ヒチコックばりの心理的な恐怖を積み重ねていく。絵空事ではない恐怖を味わいたい方におすすめの映画です。



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