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【現代シネマ倶楽部】
2007年9月29日 掲載
レニー・ブルース

人間の壮絶な生きざまを見つめてみたいときは…

●島敏光が見た
「オレはコメディアンでもないし、病人でもない。病んだこの世の中を治す医者だ」とうそぶいたのは1950年代に全米でカルトな人気を誇ったスタンダップコメディアンのレニー・ブルース。差別用語や卑猥な言葉をまくし立て、みんながこういう言葉を平気で使うようになれば言葉の毒が消えていくと言い放つ。
 映画「レニー・ブルース」(74年)でその過激なトークを演じるのはダスティン・ホフマン。うまいぞッ!
 レニーは何度もわいせつ罪で逮捕されながらも、自分の芸風を変えることはなかった。言葉だけで時の権力と闘うのはキツかっただろう。いつしか麻薬におぼれ、66年にバスルームで変死体となって発見される。
 壮絶でありながらもどこか滑稽なのが「エド・ウッド」(94年)。史上最低の映画として名高い「プラン9・フロム・アウタースペース」の監督の名前だ。彼の悲喜劇は才能がゼロなのに映画監督に憧れ、実際に監督になってしまったことにある。主演はジョニー・デップ、監督はティム・バートンと、才能にあふれるメンバーがこの映画に関わっている。
 どんな困難にもめげず、必死に映画作りに邁進する男の姿はバカバカしくもすがすがしい。惜しむらくは、いつまで経ってもカタルシスが訪れないこと。主人公はどこまでもヘッポコな映画を作り続け、観客をうんざりさせる。まあ、そこがこの映画の味でもあるわけだが……。エドは酒びたりの日々を送り、54歳の若さで人生の幕を閉じた。(映画エッセイスト)



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