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【HOT Interview】
2008年1月5日 掲載
異色の女忍者物語で話題 花村萬月氏に聞く

「なぜ女忍者かって?その方がエロいし、読者サービスになる。」

 花村萬月氏は、これまで賤民やアウトローを主人公に痛快時代小説を度々ものしてきたが、最新刊「錏娥哢(あがる)タ」(集英社 2200円)は一味も二味もちがった女忍者の物語。史上最強の忍びの一族・八劔(やつるぎ)を束ねる定めをもつ美貌の女忍び・錏娥哢タが、九州・島原、江戸城本丸で縦横無尽に活躍し、男女を問わず勃起ものの艶戯を見せる。

――エロとグロ、聖と賤俗、被虐と快楽がタップリの女忍者・錏娥哢タの物語。切支丹と反幕勢力が結びつき、関が原以降、江戸期最後の戦役となった九州・島原の乱を基点に、錏娥哢タが歴史の闇、権力の闇に切り込んでいく。
「俺の時代小説の命は、自由奔放さだと思っています。それを過去の作品よりもっとぶっ飛んで、いろんなことをやってみたくて書いたのがこの小説です。天草の乱や、東照宮、江戸城に関しては相当資料を読み込んでいますが、考証バカにならないような、裏づけのある大ボラ、荒唐無稽さ、そこが狙い目でした」
――錏娥哢タが女忍びだからこそ成り立っている物語だが、男性忍者を主人公にとは考えなかったのか。
「忍び者を書く以上、当然、半村良先生と山田風太郎先生の作品は読みましたがやはり同じ土俵ではかなわない(笑い)。俺なりの両先生に対するオマージュの意味を込めて錏娥哢タをつくり出しました。だいいち女忍びの方がエロいし、読者サービスにもなるし、俺も描いていて楽しかったし(笑い)」
――錏娥哢タは八劔を束ねる蛆神の後継として、意図的に優秀な種の掛け合わせで誕生する。八劔はまた、7世紀の朝廷の犬養部とも密接な関わりをもち、人と犬(忍犬)のブリーダーともいえる存在だ。その要素が物語に重要な意味を与える。
「律令は中国からの輸入物ですが、その時に人がやっちゃいけないこと10カ条も輸入している。もっとも日本では8カ条になっちゃうんですが、外されたのは例えば近親相姦の禁止。調べると、江戸時代まで近親相姦は厳しいタブーではなく、お上が許容していたんですね。聖なる血統は、ある意味、古代からブリーディングで維持されてきたわけで、そこに俺なりのエンターテインメントの衣を着せ掛けた、とも言えます。とにかく自分でも怖くなるほど突っ走った作品なので、読者にもとことん行ってほしいですね」

【作品概要】
 大化の頃(7世紀中葉)から、朝廷を陰で支えてきたと伝えられる忍び集団・八劔は、家康に仕えた伊賀忍者集団の実質的な支配者でもあった。八劔を束ねる“蛆神”は超能力をもつ齢ン百歳のほとんど化け物じみた老婆。その蛆神の後継者として誕生したのが錏娥哢タだ。赤子のときから人を魅了する妖艶な能力をもつ錏娥哢タは、成長するにしたがってさらに新たな能力を身につけ、やがて蛆神の命で天草・島原の乱の渦中で四郎時貞と睦みあい、さらに江戸城本丸の家光をいたぶり家康の秘密に迫る。

◆はなむら・まんげつ 1955年、東京都文京区生まれ。中学卒業後、職業を転々としながら全国を放浪。89年「ゴッド・ブレイス物語」で第2回小説すばる新人賞を受賞、作家デビュー。98年「皆月」で吉川英治文学新人賞、同年「ゲルマニウムの夜」で芥川賞を受賞。他「私の庭 浅草篇」「私の庭 蝦夷地篇」「愛情」など話題作多数。



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